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今ショパン!

志村泉さんのピアノを聴く会
演奏会 1995年10月14日


 昨年5月に続き、音楽教育の会・東京サークルで私のピアノを聴く会を開いてくださることになりました。今年4月8日、このフリューゲル・ザールのオープニングリサイタルを私がやらせていただいた時、聴きにいらしてくださった東京サークルの数人の方が”是非またここで”とおっしゃってくださったことから始まり実現の運びとなりました。

 この数年、京都・福井・岡山・広島など、音楽教育の会の大会や例会にたくさん参加させていただき、全国の方ともお会いするようになりましたが、東京サークルには、16年前の私のデビューリサイタルの時から私のピアノを聴いてくださっている方が何人もいらっしゃいます。

そして、今に至るまでほんとうに色々な場所で様々な形でのコンサートで私のピアノをどれほど聴いていただいてきたことか。私のように不器用なピアニストがこの世界で演奏などしていくことができるのだろうかと不安な気持ちでいた時期にも、いつも”聴きたいから”とおっしゃっていただけたことが、どれほど私をささえてくれたかわかりません。

 今回のコンサートが実現するきっかけとなった、このフリューゲル・ザールという場所に出会えたことは私にとって、ただの偶然とは思えないものがあります。学校の体育館や音楽室、普通の家庭の客間・・・どんな所でも、ピアノのある所に人が集まったらそこが「最高の音楽の場」と信じて、たくさんのコンサートを作ってきた、そしてこれからもそうして行きたいと思っている私に、ひとつ、夢を現実にして用意してもらえた場所のように思えるのです。

この空間はただ”素敵!”というだけでない、ただ”音響が素晴らしい!”というだけでない、”さあ、この中で何かまた新しいものをつかんでごらん!”と働きかけられているようなものを感じさせられる場所なのです。自分にはとてもできないと思っていたオール・ショパン・プロのリサイタルもフリューゲル・ザールだったらできるかもしれないという気持ちにさせられるのでした。

 ”何故、今ショパンなのか”などという問をはさむ余地はないほど私はとにかくショパンのコンサートができることがうれしいのですが、今ショパンを弾いていると、4月のショスタコーヴィチと林光さんの前奏曲集、夏に広島大会で歌った「生命の木 空へ」、先月11年ぶりに参加したこんにゃく座の公演のオペラ「金色夜叉」、それらを弾きながら自分が感じたたくさんのものがまた今、私をショパンの作品に向かわせてくれているのがわかるのです。

だからやっぱり私にとって”今、ショパン!”なのでしょう。このコンサートを準備してくださった方々、そして足を運んでくださった皆様に心からお礼を申し上げます。

1995年10月14日 志村 泉 (演奏会プログラムより)

 

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