「IZUMI meets IZUMI」によせて

2000/04/23 : 志村 泉
IZUMI meets IZUMI

立派で奥深いけれども何となく狭くて窮屈な感じのする音楽の世界のどこかに穴を開けて、あちら側の世界とこちら側の世界を風のように行き来しなが ら、私達に酸素を供給してくれる人―長い間私にとって舘野泉さんは、そんな存在でした。それをただただ、「アー、カッコイー」とため息をつきながら眺めて いた自分は迂闊だったと思います。

舘野さんの演奏で新しい世界に入って行けた人がどれほどいたでしょうか。私にとっては初めて聴いたヤナーチェクであり、私の友人はドビュッシーだったと 言うし、また多くの人にとってフィンランドの作曲家達、そして実はシューマン、シューベルト・・・。つまりたとえ知ってはいても、自分の手で触れるという 実感を持てなかった世界を、ポンと目の前に見せてくださる、それがどれほど音楽家としての底力がなければできないことか、今になってわかるのです。

思いがけずいただいた共演!!のチャンス。もうため息はついていられません。

志村 泉(演奏会チラシより)