このコンサートは本年7月より私が運営委員長を務めます、日本・ロシア音楽家協会・器楽部のメンバーによるものです。
ロシアによるウクライナ侵攻には全く正統性はなく、信じがたい暴挙でしかありませんが、一方では今世界で素晴らしいロシアの芸術までも否定する風潮があることは、非常に残念なことです。
ロシアの音楽家とされている作曲家のプロコフィエフ、ピアニストのリヒテル、ホロヴィッツ、ギレリス、ヴァイオリニストのミルシテイン、オイストラフらはウクライナ出身であり、チャイコフスキーは幼い時コサック（ウクライナや南ロシアの軍事共同体）の豊かな民謡に触れたことが、創作の源泉の一つでした。そのように芸術において分断はないはずなのです。
いま日本においてもロシアの作品を排除しようとする動きのある中で、旧ソ連圏のエストニア、ロシア、ウクライナの作品が並ぶコンサートは、貴重なものと言えると思います。
私が演奏するグバイドゥーリナは林光さんより2日遅く生まれた女性作曲家で、林光さんも強く意識していらした人です。30代初めに書かれた「シャコンヌ」は、まるで世界をわがものにしようとするかのような勢いがあり、私はとても惹かれています。
現代物ばかりでとっつきにくいと思われるかもしれませんが、プレトークもありますし、何か感じていただけるものがあると思います。
もし興味をお持ちいただけましたら、当日券もありますのでぜひお越しくださいませ。

志村　泉

2022年9月30日 日本・ロシア音楽家協会器楽部会コンサート
祈り・・・時代と文化の豊穣なる混交
エストニア～ロシア～ウクライナの現代音楽