今年はショパンの没後150年に当たります。そのことに特別の意味を感じているわけではないのですが、数年前より”1999年にはオール・ショパンのリ サイタルをしたい”と思ってきました。今までも折に触れ少しずつ弾いてはいましたが、弾く度に、あまりにも独特なショパンの音楽は、やはり他の作品と交 わってではなく、100%ショパンの世界だけに目を向ける時間を持って弾くのでなければ、どうしてもその世界に触れることは難しいと感じて来ました。それ ならばやはり、没後150年のこの年にと思ったのですが、図らずも今年は私のデビュー・リサイタルより20年目となっていました。
”ショパンの世界だけに”とは言ってみても実際にはこの秋、決して悠然とショパンだけを弾いていられるわけではないのですが、パズデラさんとのデュオを はじめ、素晴らしい音楽に生かされる瞬間をたくさん持って、そこから得るものもまた、私のショパンの中に結晶させてゆきたいと思います。
志村 泉